【綾瀬市 市長 古塩 政由 × 笠間のぼる】綾瀬市に 駅を。道の駅構想の課題と希望
2021年3月31日。綾瀬市にスマートインターチェンジ(IC)が誕生。そして2027年、綾瀬市役所の隣に道の駅が誕生予定です。今回は、その構想とその先の綾瀬市の目指す街を古塩 政由綾瀬市 市長に伺いました。
道の駅から観光文化を始める、チャレンジする場を作る。
笠間のぼる(以下 笠間) なんだか緊張しますね(笑)実は僕、議員時代から市長に道の駅の話を聞きたかったんです。綾瀬市の歴史的な背景を含めたうえで、ぜひ綾瀬市に道の駅を作りたい理由を教えて下さい。
古塩市長(以下 市長) 綾瀬市は歴史的にみても、街道や宿場町がありませんでした。つまり、外から人が来る街ではなかったんです。他所の人がきてご飯を食べたり、宿に泊まる。そういった外の人が綾瀬市内でお金を動かすというのが歴史的に浅い街だったんです。
用田や茅ヶ崎は江戸時代には街道沿いの地域でした。だから老舗のお茶屋さんが結構あるのですが、綾瀬市は江戸時代をみるとそういった外の人をもてなすお茶屋、今でいうと観光客をもてなす文化がなかったんです。
近代では電車の駅があるかどうかが外の人たちが街に行き来するきっかけになり、観光客相手に商売ができていました。しかし、綾瀬市は駅もできなかったので、やはり観光文化が生まれませんでした。
今、綾瀬市はロケ地として有名となりました。多くの芸能関係者や映画関係者が綾瀬市の街に来てくれます。ロケ隊といったところでしょうか。しかし、ロケ隊が綾瀬市内で宿泊したり、ご飯を食べたりってことがなかなかないんです。ロケ隊に限らず、ドラマや映画のファンの方々が聖地巡礼にきても、遊んでいく場所もグッズなどもないんです。
今の綾瀬市の課題はそこだと私は考えています。人を呼ぶことはできるけど、その呼ばれた人たちを受け入れる場所、文化が不足しているのです。そこを改善するには、観光文化の切り口が必要です。
道の駅は外の人を受け入れる、もてなす場所の一つの観光文化的切り口になると思っています。
笠間 たしかに・・・たくさんのドラマの聖地なのに、ドラマ関連の盛り上がりは少しかけますよね。グッズなどとかもないですし、あっても売る場所がないというか・・・。
市長 道の駅ができたら、観光で来てくれる人たちをきちんと受け入れる文化が生まれると思います。ロケ隊のみなさんにもおもてなしできる場ができます。
笠間 ロケで人がきて盛り上がるからこそ、そこを軸により商業として広げていくことは可能ですからね。最大の課題である【場】を道の駅として作ることができたら、さらに盛り上がることが想像できます。
【綾瀬市の商い】として盛り上がれる場所を作るのが大切ですね。ロケ関連に関わらず、綾瀬市ではこれを売りたいって思っている人たちが売れる場所がありません。
そういう意味では道の駅はチャレンジできる場所にもなりますね。
僕は、行政の役割の一つに、これから新しく何かをやりたい!と思っている人がいればその人たちに場所を提供することが重要だと思っています。道の駅はそういった場としても利用できそうです。
市長 商いなので、お店や個人によって売れる売れないはきっとでてくるかもしれません。でも、外に向かって挑戦する力が大切なんです。ロケ地として根付いて、外から人がくる流れが生まれている綾瀬市だからこそ、それを利用してほしいと考えています。
新しいチャレンジの場所へ…
市長 しかし、どこにでも売っているモノをただ売るだけではいけません。昨今は、道の駅そのモノの魅力が大きく、旅のゴールという時代。魅力ある道の駅を作ることが大切です。
笠間 道の駅の魅力は日本全国で注目されていますね。神奈川の県央エリアにもいくつか道の駅構想が生まれているのも事実です。道の駅を作るとしたら綾瀬市らしさの象徴になるものがいいですね。綾瀬市の農業をはじめとする様々な資源が集約される場所が理想です。
市長 農業といえば、最近はチャレンジ農業という新しい農業の形態にも注目しています。ICができたことで都内の人たちが車で来やすくなりました。都内の人が綾瀬市に週末に来て小さな農業を体験して帰っていく。本格的なモノとは異なりますが、子育て世代や若い世代で 「農」の新しい姿が広まっているようです。
笠間 本気の農業とは違う、新しい形の農業なんですね。
市長 農業って当然簡単なものではありません。ちょっと手を出してできるものではないのは大前提ではありますが、気軽にできるチャレンジ農業は日本の農を知ってもらう機会にもなります。そしてこれは、綾瀬市に来てもらう機会になるのです。
将来に誇れる街 綾瀬市になる!
市長 綾瀬市は今までは保守的な街でした。そんな背景から【駅】ができませんでした。だからこそ今、道の駅という【駅】、外から来る人たちが集まる場が必要です。
いままで、駅も反対し、新幹線も反対し、民間空港も反対してきた歴史があります。
たしかに当時は騒音など解決すべき問題は山積みでした。しかし、課題を解決するのでなく背をむけたことで、今の若い人たちに なんで綾瀬市には駅がないんだ!困る!と言われてしまっています。
笠間 何かを変えるときというのは、必ず摩擦は起きますからね。けれど、誰かが火の粉をかぶらないと次の世代にすごしやすい街を残せないと私は思います。道の駅はまさに綾瀬市の令和の開国になると考えます。
市長 黒船にやられちゃいけないけどね(笑)綾瀬市はこれから人が溢れる街になりますよ。だからこそ受け入れる店がたくさん増えてほしいです。将来に残せるものを作れる綾瀬市を目指しましょう。
この対談は2023年9月1日発行の「あやせワクワクプロジェクト」冊子に掲載された内容となります